2009(平成21)1月28日 国民生活・経済に関する調査会(仮説1「人口減少によって一人あたり国民所得は高まり、国民幸福度も向上する」のうち、人口減少の姿について)

 

○行田邦子君 民主党の行田邦子です。
 今日は、お二人の参考人にお忙しい中お運びいただきまして、ありがとうございます。また、少子高齢化社会についての示唆に富んだ御意見を伺うことができまして、大変勉強になりました。
 お二人の参考人に対してそれぞれ御質問させていただきたいと思います。
 一つは、先ほどの吉田委員と少し重なる部分があるんですけれども、この人口減少社会、すなわちお年寄りが増える社会という中にあって、ここで年齢観の変更というのを考えなければいけないというふうに思っております。生産年齢というのは今は十五歳から六十四歳と、そしてお年寄り、高齢者は六十五歳というふうに位置付けられているかと思いますけれども、これからどんどんどんどんお年寄りが増えていく社会の中にあって、この生産年齢というものをもう少し上げていかなければいけないのではないかと、そのことによって労働人口が増えていくのではないかというふうに考えているんですが。
 そうすると、先ほどの吉田委員のお話と少し重なるところがあるんですけれども、団塊の世代の方たち、これから高齢者というふうになっていきますけれども、こういった方たちがもっと労働市場へと入っていって、労働力として、新しい自由な労働力としての担い手になっていくべきであろうと思います。
 ただ、一方、今は特に非正規雇用者の失業という問題も大変深刻な問題になっておりますけれども、団塊の世代という大変人口ボリュームのある方たちが新しい労働力として労働市場に参入することによって若年労働者とのカニバリゼーション、あるいは出産や育児によっていったん仕事を辞めてしまった、労働市場から姿を消してしまった女性の再就職の雇用の機会の喪失につながりはしないかということを懸念しているんですけれども、その点について堺屋参考人にお伺いします。
 
○会長(矢野哲朗君) 一緒に質問されて、答弁一緒にいただくということでいいですよね。
 
○行田邦子君 はい。
 もう一つの質問は原田参考人にお伺いしたいんですけれども、堺屋参考人それから原田参考人からもお話がありましたけれども、特に堺屋参考人からのお話でも、合計特殊出生率と政策との相関性は見られないというお話もありました。また、原田参考人からは、子供を増やすことにはとてもコストが掛かるというお話もありました。
 ただ、そうはいっても、長期的に見て、少子化ということに政策的に何らかの歯止めを掛けなくてもよいのかどうかということをもう少しお聞かせいただけたらと思います。
 
○参考人(堺屋太一君) ありがとうございます。
 まず、第一の点でございますけれども、やはり年齢観は変えなければいけないと思います。下の方も変えなきゃいけないと思います。今、労働人口を十五歳から六十四歳というのはかなり古い時代、二十世紀の初め、百年前ぐらいに決めているんですね。今、十五歳から労働人口になって家計を立てて税金が払える人というのはよほど運のいい少女歌手ぐらいでございまして、大体不可能です。まあ平均して二十二歳ではないでしょうか。下の方が七歳も上がったんなら、やっぱり上も上げなきゃいけないのでありまして、いつまでも厚生労働省が十五歳から六十四歳にこだわっているのはいかがなものかと思います。
 しかし、六十五歳以上の人に働いてもらうためには、全部が正規労働、一日八時間、満員電車で通勤するということは困難ですから、そこにやはり労働雇用の柔軟性を生み出すべきではないかと。例えば、自宅勤務をどうするかとか、パートタイムをどうするかとか、あるいは週休三日制の労働をつくるとか。そういたしますと、いわゆるヒューマンウエア、人間を、人をどのように待遇するかという技術の進歩、それから先ほど申しました事務機械などの進歩、それに合わせたものというのもビッグプロジェクトとして考える必要があると思います。
 そして、働いてくれる人、しょっちゅう外へ出る人は、やはり需要もいたします。ここが大変重要なところで、高齢者が働くだけでお金を使わないということはないんですね。ずっと団塊の世代を追ってまいりますと、いつも、団塊の世代が六〇年代の末から七〇年代の初めにかけて高校、大学を卒業したときには、当時の労働省は、こんなに一遍に大勢学校を出て就職すると物すごい就職難になるというので、当時、今のハローワークですね、というようなところに大変職員を付けたりしたんですが、実際は団塊の世代はまず需要者として働きました。マーケットとして働いたから、大好況になって人手不足になりました。人が働くということは、同時にやはり需要になります。
 だから、高齢者が好むような消費、それからもう一つは高齢者の誇りの持てる暮らし。外国では、高齢者の誇りを持てる典型的なのは寄附でございまして、寄附すると物すごく名前やら何だか書いてくれるんですね。そのために、アメリカでは個人の寄附が年間二十兆円あります。日本は二千億円です。百倍あるんですね。もし高齢者の人が、アメリカ並みでないにしても、その半分でも、日本の経済規模はアメリカの半分として五兆円ぐらい教育、学術、福祉等に献金してもらえるようになったら、そしてその人たちを顕彰して誇りを持って暮らせるようになったら、世の中相当変わると思うんですね。だから、いかにして高齢者の人に働きかつ楽しんでいただくか。そういうプロジェクトを是非立ち上げていただきたいと思います。
 今、非正規社員の問題が出ておりますけれども、私は、非正規社員はやはり企業が弾力的な運営をして次の投資をしていくためには必要な存在であろうかと思いますし、また働かれる方も、必ずしも正規社員として終身雇用の中でいるのがいいと思う人ばかりではございません。そういう点では、この非正規社員の増減というのは存在いたします。
 それは、今問題になっている非正規社員の問題は、これはパブリックセクター、政府、地方自治体、そういうパブリックが責任持つことでございまして、これを禁止して企業に全部社員は切っちゃいかぬなどと言うと、投資がヘジテートして新しい雇用もつくらなくなりますから、むしろそれはやっぱり、安全ネットというのは国が、公共が持つべきものだというのをしっかり考えていただきたいと思っております。
 そういう意味で、団塊の世代が六十歳を超えられるときに、この方々を更に労働力として、そしてマーケットとして活躍できる体制を早急に整える必要があるんじゃないかと考えています。
 
○参考人(原田泰君) 合計特殊出生率がどんどん下がってくるときにある程度歯止めを掛ける必要があるのではないかという御質問だと思います。
 もちろん、このままの出生率が続きますと、千年後には最後の日本人が生まれることになります。それは皆様方も歓迎しないことだと思いますので、どこかの段階で何とかしないといけないということで日本人が本気になるということは十分考えられると思います。また、そういうふうにすべきだということかもしれません。
 それで、対策をやってもうまくいかないということを堺屋先生がおっしゃっておられました。ただ、先進国の中だけを見ると、ある程度効果はあるのではないかと思います。
 例えばアメリカの場合も、何もしていないんですけれども、ただ一つやっているのは、子供を育てるためのいろんなコスト、そういうものを全部所得から控除できます。もちろんこれは女性が働く場合ですね。女性が働く場合、子供を保育所なりあるいはベビーシッターに頼むと、そういうコスト、そういう費用を全部その女性の所得から控除できます。ですから、当然、税金をまけてあげるということは結局補助しているのと同じですから、アメリカにもある程度補助はあるわけですね。
 ということで、日本でもそういうことをやるとか、あるいはヨーロッパや北欧がやっているような高い児童手当であるとか、あるいは保育所に対する援助を増やすとか、あるいは幼稚園と保育園がごちゃごちゃに、まあごちゃごちゃというか、役所の縄張争いでうまくいっていないわけですが、それを統合して長期間預かることができるようにするとか、様々な方法はあると思います。ただ、ヨーロッパの国が大体GDPの五、六%のお金を使ってやっと出生率が二になっているわけですね。そういうことを考えますと、やはり更に上げるということは非常にコストの掛かる非常に難しいことではないかというように思います。

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