
| 2009(平成21)3月30日 総務委員会質問(平成21年度NHK予算案について) |
○行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の行田邦子です。
私は、テレビ番組の制作委託について、中心に質問をさせていただきたいと思います。
視聴者の皆様が御覧になっているテレビ番組、その大半が番組制作会社の協力によって作り出されています。毎日放映されているこのテレビ番組は番組制作会社の力なしではもはや成り立たない、このような状況になっています。
しかしながら、ところが、かねてから問題視されているのが、放送局から番組制作会社への発注について、その発注方式であるとか、あるいは支払方式などについて様々な問題が指摘をされています。一部の新聞報道では、下請いじめなどというような表現が使われて報道されていました。放送日が当初の予定から延期されたため、支払が番組納入後六十日を超えて行われた。毎年請け負っていたレギュラー番組について、一方的に番組改編期に一律に一定比率で制作費を減らすと放送局から告げられた。あるいは、契約書に記載がなかった業務を追加発注されたが、予定支払金額は据置きのまま追加支払がない。また、放送局が主催するイベントのチケット購入を要請された。こういった事例を公正取引委員会が過去の警告実績から挙げています。そしてまた、昨年総務省が実施をした番組製作取引実態に係るヒアリング調査でも同様の事例が見出されていると聞き及んでおります。
今日は公正取引委員会さんにお越しいただいておりますので、お聞きします。
今私が申し上げましたようなこういった取引が行われているとすれば、これらは下請法に違反するおそれのあるもの、あるいは独禁法、独占禁止法上問題があると思われる取引となりますけれども、こういった実態に対して公正取引委員会としてどのような取組をされていますでしょうか。
○政府参考人(中島秀夫君) お答え申し上げます。
放送事業者が番組制作会社に対しまして行う放送番組等の制作委託につきましては、平成十五年の下請法改正によりまして、情報成果物の作成委託として新たに下請法の対象として追加されたところでございます。
これを受けまして公正取引委員会は、放送事業者や放送番組等の制作の委託を受けている下請事業者に対しまして書面調査を定期的に実施し、下請法違反行為の把握及びその是正に努めてきているところでございます。
特に、平成十九年度におきましては、放送番組・映像制作委託を行います放送事業者等六十五社に対しまして特別の調査を実施しました。この結果、今先生からも御指摘もありました発注書面の交付義務違反、下請代金の支払遅延、さらには物品の購入強制等の下請法違反が認められました親事業者四十一社に対しまして、警告を行ってきたところでございます。
さらに、これらの違反行為が行われます主たる原因の一つとしては、親事業者が下請法の内容を十分に理解していない、承知していないということが考えられますことから、放送分野における下請法違反行為を未然に防止するという観点から、平成十八年度より放送事業者の職員を対象といたしましたいわゆるコンテンツ取引に係る下請法講習会を実施してきております。本年三月にも東京、名古屋、大阪の三か所で開催したところであります。
公正取引委員会といたしましては、今後とも下請法の厳正な執行、下請法の周知、普及、この両面を通じまして、放送分野における下請取引の適正化に努めてまいる所存でございます。
以上でございます。
○行田邦子君 今、公正取引委員会から、テレビやラジオ番組の制作取引については平成十六年から下請法の対象となったという御説明がありました。それまでは、それ以前は下請法の対象外だったわけなんです。ですから、放送業界にとっては下請法というのはなじみが今まで薄いような法律だったということが言えます。下請法を違反する、あるいは独占禁止法上問題があると思われるような取引が続いている、こういうことになると番組制作会社にしわ寄せが行って、そして、ADなど番組制作の現場で働く特に若い人たちの賃金がどんどんどんどん下げられていく。ワーキングプアということも言われています。そして、そうなると制作現場のモチベーションも下がっていく。結局テレビ番組全体の質の低下につながりかねない。そうすると、視聴者がテレビ離れを起こすという、こういった業界の地盤沈下を招きかねないというふうに私は思っております。
是非とも、公正取引委員会には放送業界に対して引き続き法律の趣旨の理解促進そして啓蒙に力を注いでいただきたい、このことをお願いを申し上げます。
それでは、NHKにお伺いをいたします。
NHKではこの番組の制作委託について、どのような基準を設けていらっしゃいますか。
○参考人(福地茂雄君) NHKではこういった番組の制作を依頼している先を下請先とは考えておりませんで、パートナーと考えております。といいますのは、今NHK、ラジオ、テレビを合わせまして八つの波でほぼ二十四時間近い放送をしておりますが、このコンテンツをすべて自らの手で作るということはもう不可能です。やはり日本全国のいろんなコンテンツの制作能力を持っている会社、企業、そういう人たち、そういった人たちの手を借りながらNHKの番組というのはでき上がっております。
そういうことで、NHKとしては、大変今疲弊してきておりますから、何とかお手伝いできないかということで、NHKがこの五か年計画の中ではNHKの衛星放送の中の約四〇%、全体の二十数%をこれからそういった、中小という表現は良くないですが、NHK以外の、NHKの関連団体を含めた以外のところの人に作っていただこうと。しかも、その中で三〇%近いものが前払金というんですか、着手金というんですか、そういったものをお支払いしていこうと。そして、そういったパートナーと共々やっぱりNHKのコンテンツの制作能力を高めていこうと、そういうふうな方向で取り組んでおります。
○行田邦子君 NHKが公共放送としていち早く独自の取組をされているということを私は高く評価をしたいと思っております。また、三〇%の前払金というのも、これNHKさんが初めて行われたというふうにお聞きしておりますので、NHKが業界の番組の制作委託の適正化のリード役となって、そして民放のお手本となるということを期待をしたいと思います。
先ほど福地会長からの御答弁の中で、この三か年経営計画の中で、NHKグループ以外が制作する番組の比率を高めていくという御答弁があったかと思いますけれども、私がちょっとここで懸念をしておりますのが、NHKというのは民放と比べて番組制作の外部委託率がこれまで低いというふうに認識をしております。このことが、私が思うには、NHKの番組のいわゆるNHKらしさを保っていると、NHKの番組のクオリティーを一定以上に保っているゆえんであると私は思っているんですけれども、この点、いかがでしょうか。
○参考人(日向英実君) 御指摘のように、NHKの場合ですと、外部の制作会社が作った番組の放送の比率が非常にまだ低いです、まだ一けただと思います。それは、購入番組を含めて五年で二五%まで高めるという計画でございます。
これは、もちろんNHKの番組、公共放送ですからその基準を満たさなきゃいけませんけれども、公共放送としてもやっぱりなるべく多様な番組を放送したいということと、それから日本全体のコンテンツ制作能力というものを引き上げていくといいますか、NHKとしてもきちんとそこには支援をしていきたいということもありまして、二五%という数字は、ほかの民放に比べればまだ、それでもまだ低いとは思いますけれども、その中で購入番組というのも含まれておりますので、決して高い比率ではないというふうに私は思っております。
○行田邦子君 今の御答弁の中で、日本のコンテンツの制作力の向上ということを目指しているという御答弁がありました。是非とも、外部委託することによって経費削減ということではなくて、そういう視点からではなくて、日本のコンテンツの制作力全体を向上していくんだと、NHKがそのために貢献するんだという意気込みで引き続き御努力をお願いしたいと思っております。
鳩山大臣にお聞きします。
先ほども、公正取引委員会から、放送局から番組制作会社への制作委託の実態について説明がありました。この実態について、大臣はどのように認識を持たれているのか、そしてまた総務省としてどのような取組をされているのか、御説明いただけますか。
○国務大臣(鳩山邦夫君) NHK関係では余り今まで問題が指摘されておらないようでございますが、いわゆるコンテンツ制作分野というんでしょうか、放送番組制作分野において下請法で警告を受けている件数というのは相当数毎年あるというふうに聞いております。その関係で番組制作会社の経営が悪化をして、あなたが、委員がおっしゃったように、悪化すればいい番組は作れなくなるという、そうすると、いいテレビ番組がなくなるという非常に良くない循環をします。
総務省においては、昨年一月から放送コンテンツの製作取引の適正化の促進に関する検討会というのを開いて、今年の二月に放送コンテンツの製作取引適正化に関するガイドラインを公表したところでございまして、今後民放各社にこのガイドラインに沿って行動してもらいたいと、こう考えております。
先ほどから委員御指摘のように、例えば制作会社に番組を発注したときに発注書を渡さないと、例えば口頭で五百万と言っておきながら、後から渡す発注書は三百万になっていたというような例、そういうことは絶対やってはならぬと。いわゆる買いたたきみたいな形で制作費を値切るようなことはさせないというようなこと、そうした内容があるガイドラインというものを周知徹底することがまず第一と。それから、総務本省に、また各総合通信局に相談窓口を整備をいたしまして、取引の適正化に努めていきたいと、こう考えております。
○行田邦子君 これまで放送業界というのは、放送局だけではなくて番組制作会社もいい番組を作りたいという思い、気持ちがあるんだろうと、視聴者の皆様に認められる番組を作っていきたいという思いがあるんだろうと、だからここは、まあつらい部分もあるけれども協力してやっていきましょうよというような放送局と制作番組会社のなあなあな関係というのがあったかと思うんですね。
ただ、これも右肩上がりのとき、潤沢な広告収入が放送局に見込まれている時代はよかったかもしれないんですけれども、結果オーライだったかもしれませんけれども、今やもう放送局は大変厳しい環境にさらされて、そして特に今のような景気後退期には、なあなあな関係での制作委託や契約はまかり通らないという状況になっています。
大臣が先ほど御指摘されたように、番組制作会社の大半が中小企業となっています。資本金五千万円未満が全体の八〇%、そして従業員百人未満が全体の九三%という状態になっています。そうすると、支払が遅れたり買いたたきが続いたりすると今のような経済環境では番組制作会社が倒産しかねないという事態にもなってまいります。是非、総務省が策定しましたこのガイドラインについて、業界の規律によって守られていくことを私も願っております。
それでは、最後の質問をさせていただきたいと思います。NHKの報道姿勢について伺います。
先ほどから長谷川委員、そして武内委員、そして大島委員からも質問、指摘がありました。公共放送として、そして報道機関として、NHKの報道は公平、公正であるべきということはもう言うまでもありません。放送法第三条二項に、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と、このように記されています。
ところが、NHKの報道、番組編集姿勢が本当にこの放送法第三条二項と照らし合わせて適切なのかどうかと首をかしげてしまうような報道が三月二十四日に起こりました。この日の夜、NHKは、小沢代表の秘書が献金は西松建設からだと認識していたとうその記載を認める供述をしていることが関係者への取材で分かったという報道を何度も繰り返しています。関係者への取材で分かったというふうに報道しているわけですけれども、それではこの関係者というのは片一方だけの関係者ではないんだろうか、もう一方側からの意見や見解というのを十分取材した上で本当に報道がなされているのかということを、私自身この報道に触れて疑問を感じました。
三月二十七日午後五時過ぎなんですけれども、この三月二十四日の三日後になりますけれども、もう一方側の関係者と言っていいと思うんですけれども、起訴された者の弁護人がこのようなコメントを報道機関向けに発表しています。新聞、テレビ等において同氏が政治資金規正法違反に係る起訴事実についてその大筋を認めている等の報道がなされているところだが、弁護人らの認識は全く異なっている、誤解に基づく報道ではないかと考えている、こういうコメントを発表しています。
ところが、私が認識する限りでは、今現在までにおいてこの点についてはNHKさんにおいては報道をされていないわけなんです。「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と放送法第三条の二では規定をされていますけれども、この放送法に照らし合わせても、NHKの今回の件についての報道姿勢というのは私はいかがなものかと思っております。この点について福地会長の御見解をいただきたいと思います。
○参考人(福地茂雄君) NHKは、放送法の規定を踏まえまして国内番組基準というものを作っております。その中で、政治上の諸問題は公平に取り扱う、それから意見が対立している公共の問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにして公平に取り扱うと、こういうふうに明記をしております。さらに、この番組基準を基といたしました日々の放送の指針でありますNHK新放送ガイドラインでも、正確な報道に努めるとともに、意見が対立する問題を扱う場合には、多角的に論点を明らかにし、様々な主張を紹介することによって視聴者の判断の材料を提供する姿勢を打ち出しております。
NHKは、この番組基準でありますとかガイドラインに沿って、番組として、放送全体として、報道の公平、公正を確保することに努めておりまして、今後もその姿勢を堅持していく決意でありますけれども、私は会長としてすべてのニュース報道をチェックする立場、これはなかなかできませんが、しかし、やっぱりどういうふうにして検証するかという問題につきましては、先々週もそうでございますけれども、去年もやりましたけれども、解説委員会の解説委員会議に突然下りていって、それで明日の解説について議論しているさまを目の当たりにいたしまして、そういった仕組みの中で、私は今の報道が公正に公平に行われるように努力しているさまを自分の目で検証しております。こういった姿勢を今後とも貫いていきたいと考えております。
○行田邦子君 今会長が御答弁されたNHKさんがお作りになっている番組基準、ガイドラインが私は守られていないんではないかということを指摘をさせていただいているわけなんです。今の御答弁、大変残念に感じております。
もう時間が限られておりますのですが、放送法第三条の二というのは、これは報道機関、とりわけ公共放送であるNHKさんにとってはこれはもう心臓部分というふうに私は思っております。そして今回のこの件、この報道についてはこの放送法第三条の二というものが守られていなかったのではないかと私は疑問を抱かざるを得ません。是非とも福地会長におかれましては、現場が大切というふうにもおっしゃっています、この現場にもう一度下りていって、この放送法第三条の二の法の趣旨をきちんと報道現場に携わっている皆様に周知徹底をさせていただく、このことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。


