2008(平成20)年4月22日 総務委員会参考人質疑(地方税3法に関する参考人の意見陳述について)

○委員長(高嶋良充君) ありがとうございました。以上で参考人の意見陳述は終わりました。
これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。行田邦子君 

○行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の行田邦子です。
本日は参考人の皆様から大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
まず初めに、片山参考人と横尾参考人にお聞きしたいと思います。
この通常国会では道路特定財源について議論がなされておりますが、連日のように新聞でもこの道路特定財源について取り上げられています。そんな中、先日の 朝日新聞に、引退十七市長、一般化支持、署名は踏み絵批判という見出しの大変興味深い記事が掲載されておりました。記事によりますと、道路特定財源の一般 財源化の是非について、昨年引退した全国の市長に朝日新聞が聞いたところ、回答した三十五人のうち約半数の十七人が一般財源化を支持すると答えたというこ とです。
かつて冬柴大臣は、道路特定財源と暫定税率を維持するよりどころの一つとして、全国千八百人ほとんどすべての市町村長、六人を除いて全員が道路特定財源維 持、暫定税率維持の署名をしていることを挙げておられました。また、私のところにも、福田総理の一般財源化発言以降はぴたりと来なくなってしまったんです けれども、それ以前は議長会や市長会といった様々な地方団体から同様の要望書や決議文といったものが寄せられました。この朝日新聞の記事には、さらに、こ の署名について、首長にとっては一種の踏み絵、あえて署名しないなら相当なプレッシャーを覚悟しなければならないという元市長の声を紹介しています。
私は、この記事を目にして、首長の本音と建前というんでしょうか、国と地方の関係において、地方自治体の置かれた立場を考えると、取らなければいけない行 動と実際の本音というか思いには相当乖離があるのかなということを感じました。また、踏み絵という言葉、非常に強烈な印象を受けるんですけれども、この踏 み絵という言葉に今の国と地方の実態が表れているのかなということも考えました。
この国から地方への目に見えない圧力というんでしょうか、こういった件についてお聞きしたいんですけれども、知事の御経験があられる片山参考人と、そして 現役の市長でいらっしゃる横尾参考人、お二人に現在の国と地方の関係について首長の御経験からお聞きしたいと思います。

○参考人(片山善博君) 首長にはいろんな方がおられると思いますが、ある種のタイプの方は、例えば今回、本当は一般財源にしてもらいたいと思っている人がいたとしてもなかなか言えない人もいるんだろうと思います。
私も首長の経験がありますが、財源というのはやっぱり自由な方がいいんです。いろんな住民の皆さんの要求にこたえるためには特定枠でない方がいいんです。だから、合理的な判断をされる方は、少なくとも地方の財源については一般財源の方がいいと、こう思うはずなんです。
ところが、六人の方を除いて皆さん、特定財源のままにしておいてくれ、縛っておいてくれというのはいかにも不合理であります。非合理的であります。それ は、やはり一つは、本音を言ってしまうと、例えば国から、特定の省からにらまれたり、その省に別途お願いに行ったときにじゃけんにされたりという懸念と か、場合によっては恐れのようなものを感じるということはあるんだろうと思います。
それからもう一つは、本当に、でも特定財源のままにしてもらっておいた方がいいという方も実はおられるんです。それは、例えば自分の選挙で応援してくれた 業界があってそこにツルの恩返しをしたいと思っているときに一般財源になってしまえば、教育にも使え、福祉にもという、もういろんな声が出ましてややこし くてしようがないから、この際もう国から縛っておいてもらった方が自分がやりたいことがやれるからという方も本音としておられるのは事実であります。
まあ、いろんな方がおられるんだろうと思います。

○参考人(横尾俊彦君) 国と地方の関係について率直なところというお尋ねでございますが、振り返りますと、平成十二年に地方分権に関する一括法が 成立して、上下関係だったものが対等の、国と地方は一緒の、横並びの関係だというふうに改められたわけでございますが、実際仕事をしながら感じることは、 まだまだその実態には至っていない。あえて言うならば、改革は本当に道半ばで、まだまだこれから分権的な発想で変えていかないといけないなということを感 じます。
例えば、私も所属している分権委員会では、今調査をしているものに、国による義務付け、枠付け、関与というのがありますが、これを全部総洗いをしたいと、 そして、不必要なものはできるだけ簡略化して地方の自主性や独自性が発揮できるようなシステムにしていかないといけないんじゃないかということを申し上げ ています。恐らく、調査を掛けてそれが二度と起こらないチェックシステムをビルトインしたとしても今度はまた出てくるかもしれませんので、そういうのもし ないようにしてくださいということを委員会でも議論していますが、まさにそういった思いを各首長の皆さん持っておられると思います。そういったときにやは り分権発想が大事だと思います。
そしてもう一つは、国と地方といいましても、地方の中でもう一つ地方と地方があります。御案内のとおり都道府県と市町村でございまして、あらゆる権限等が 県レベル、都道府県レベルに集中し過ぎても、これは市民から見たらまだまだ不十分じゃないかという印象がぬぐえないと思います。巨大化してしまうと、そこ でまたブロック版中央集権になっても困りますので、是非そういったことを改める、そういった改革が今待たれているというふうに率直に思います。

○行田邦子君 ありがとうございます。首長御経験からの御意見、大変説得力があるようにお聞きいたしました。
この道路特定財源の一般財源化というのは、私は、地方の自立というか、地域のことは地域で考えて地域で決めていくという、こういう地方分権を推し進める上で大変良い契機となるというふうに思っています。
これまで道路にしか使えなかった財源が地方自治体としてもこれからは道路以外にも使えるようになる。そうなると、今までは道路特定財源というと道路にしか 使えなかったので、ある意味、地方にとっても考えなくてよいので楽と言えば楽だったと思うんですね。それが一般財源化すると道路以外にも使える。そうなる と、今本当にそれぞれの自治体で何が一番住民が必要としているのか考えなければいけなくなる。本当に道路が優先順位として一番高いのか、それとも教育なの か医療なのか、こういったことをそれぞれの地方自治体、横尾市長からは市長はCEOだというお話もありましたけれども、首長さんが考える、そして議会も考 える、さらには住民も考える。地方分権を推し進める上でこの道路特定財源の一般財源化というのは私は大変良い機会だというふうに思っております。
先ほどの御意見の中で片山参考人そして池上参考人からは、道路特定財源が一般財源化された後にこれは地方税にしてもいいのではないかというような御意見が あったかと思いますけれども、道路特定財源が一般財源化された後に、道路関連の様々な負担金や交付金、補助金といったものがあるかと思いますけれども、具 体的には、国からのものとしては道路関係の臨時交付金、揮発油税の四分の一が今地方に来ています、こういったもの。それから、道路事業関係の補助金、これ も今国から地方に来ています。そして、逆に地方から国へというものでいうと、国の直轄事業の負担金、裏負担金とも言われています。こういったものがあるか と思いますけれども、道路特定財源が一般財源化されて、その後、こういった今言ったような負担金、交付金、補助金というのはどのようにあるべきとお考えで しょうか。片山参考人と池上参考人にお伺いしたいと思います。

○参考人(片山善博君) 今、国、地方、地方でも都道府県と市町村と、行政主体というのは三つあるわけですけれども、その三つがそれぞれもたれ合い といいますか依存関係、絡み合っているわけです。例えば、県が道路事業をやる場合でも国から補助金とか交付金が来る。それから、逆に国が高速道路などでや るときには県が直轄事業の負担金を払う。それから、市町村が仕事をするときも県を通じて国から交付金なり補助金をもらう。県もまた市町村に補助金を出すと いうような関係になっているわけですね。納税者が納めた税がどこでどう使われるのか、どこからどこに回るのかというのはもう分からなくなっているわけで す。非常に不透明で複雑な中で監視も行き届かない。そういう中から随分報道されました天下り法人への道路財源の垂れ流しとか、そういう水漏れがいっぱい起 こっているわけですね。
だから、この際、私は、三者の関係をクリアにするという方向に改正していく、改善していくということが必要だろうと思うんです。相互もたれ合いをやめて、 国がやるものはもう国が責任を持ってやる、県がやるものは県がやる、市町村は市町村がやるというふうに財源を明確に分けてそれぞれが責任を持って支出し、 その段階で、それぞれの段階でチェックが可能になるような、そういう方向に少しずつ変えていくということが基本的な考え方だろうと思います。

○参考人(池上岳彦君) 恐らく地方団体の側で一般財源化に対する不安といいますか、そういうものがあるのは、一般財源化したときに、私が先ほど申 し上げたとおり地方税にすればいいんですが、しないで国税のままにしたまま一般財源化すれば当然ほかのところに使われるかもしれないし、あるいは国債の償 還に使うかもしれないし、いろんな使い方はあるわけでございます。ということは、一般財源化した瞬間に地方の財源が減るんじゃないかというところが大変不 安かと思います。そこで私はだから地方の一般財源にすべきであるというふうに申し上げたわけでございます。
そうした場合に、それはそれでいいのですが、じゃ国の、つまり国道の整備はどうするんだとか、そっちをガソリンの税でやっているではないかということがご ざいます。当然のことながら、国は当然一般財源を持っている、普通の税を持っているわけでございますから、もし仮にガソリン関係、あるいはいわゆる道路特 定財源とされているものをみんな地方に移譲してしまえば、それは当然残った国の一般財源である国の税の中から国の道路の事業を行うということになるかと思 いますし、いや、それはやり過ぎであると、先ほどお話ありました地方分権改革推進委員会ですか、そこで補助金のことも多分また問題になるかと思いますけれ ども、その段階でやはりこの国道あるいは地方の道路についても国の補助金の制度が残るのであるということになってしまいますと、それはそれで国から地方に 交付される道路補助金は残るんですが、だからといってその補助金がガソリンの税に基づかなければいけないと限ったものではないというふうに思います。それ は当然国の責任で税収を確保すべきものであるというふうに思います。
以上です。

○行田邦子君 ありがとうございます。
この地方分権という観点からもう一点お聞きしたいと思います。
池上参考人からは地方交付税について地方共有税というお話もありましたけれども、この地方分権を推し進めるに当たって現状の地方交付税の問題点あるいは改革すべき点について、片山参考人、そして横尾参考人にお聞きしたいと思います。

○参考人(片山善博君) 交付税にはいろんな問題がありますけれども、本来の交付税のミッションを私は相当逸脱していると思います。ミッションとい うのは、交付税のその本来の目的、意義というのは税の身代わりとして税収の少ないところに必要な財源を交付するということであります。税の身代わりなんで すね。ところが、今の交付税は、例えば整備新幹線を造る、そのときに地元の負担金を県が払う、それについて後で交付税で補てんしましょうみたいなことに なっているわけです。それから、景気対策のときは、景気対策でどんどん公共事業とか箱物をいっぱい造れば、その借金の返済に交付税を上乗せしてあげますと いうことがあるわけですね。それから、合併をしなさい、合併をしたら合併特例債が発行できて、その合併特例債の償還は交付税で上乗せをしてあげます。こ れ、もう明らかに補助金になっているわけです。例えば、税だったら、何か仕事をすれば税が増えるというわけではないんですね。税というのは税法とか税条例 で決まっているわけで、それを何を使ってもいいということなんですけれども、税の身代わりであるべき交付税が何か造ったり整備新幹線引いたり合併したら増 えますよなんていうのは、もうそもそも大きく逸脱しているわけですね。
これは政府が地方財源である、本来の地方財源である交付税を恣意的に使い回しをしているということですから、それを私はやめることがもう第一歩だと思いま す。そのことの結果が今大きなツケが出ていまして、もう景気対策でいっぱい発行した地方債の償還、合併特例債の償還がまた来ます。そういうものを手当てす るために四苦八苦しているわけです。そういう今までやってきた悪弊を絶つということをまずやっていただきたいと思います。

○参考人(横尾俊彦君) 簡単にまとめて四点あるかなと思います。一つは財源調整機能、財源保障機能がありますけれども、この辺りがどうもこれまで の議論を見ますと余り深い議論がないままに、不透明だ、よく分からない、一体どうなっているんだという議論が先行したように思いますので、きちっと理解を し、またそのことを認識、評価しなければならないと思っていまして、このことは世界的にも先進国では評価されている部分がありますので、この点が大事だと 思います。
二点目は、共有税化ということですけれども、地方共有税ということを地方団体としては求めていますけれども、まさにそういった視点で行うとともに、決定に つきましては、先ほどもほかの参考人からも意見がありましたが、地方と国で基づく地方にかかわる行財政の会議を設けて、そこがやっぱりイニシアチブを発揮 してリードしていくというのが必要だと思います。
三点目ですけれども、下手をすると交付税が独自に地方に行くという形になりますと、よく財務省議論でありがちなのは、地方にある財源をあげたのでほかカッ トするよということになりがちな気配も感じたりも心配もします。そうなると、地方にとっては結局脆弱なままになってしまいますので、ここら辺をきちっと担 保する必要があると思います。
四点目でありますが、財政の改革という大きなスタンスがありますので、是非そういったことを、これが地方の自主自立に通じていくということをやっぱりよく理解をしていただきながらやっていかなければならないだろうということを強く感じております。

○行田邦子君 ありがとうございます。
それでは、最後になりますけれども、池上参考人にお聞きしたいと思います。
今私たちが審議をしている地方税、地方交付税の改正と地方法人特別税においては、地方間の財政格差、税収格差の是正ということが大きなテーマになっている かと思います。もちろんこの地方間の税制、格差是正というのはやらなければいけない、国として対応しなければいけないことだとは思いますけれども、今政府 から出されている案として地方法人特別税、この地方法人特別税は地方固有の税を国有化するという、税制に矛盾しているというふうに私は思います。そして、 ふるさと納税についても、本来、そこに住んでいる住民が自分が住んでいる自治体に対して住民としてサービスを受けるために財源を税金として支払うものとい うふうに私は考えておりまして、その点でも受益と負担という考え方から矛盾があるというふうに思っております。このふるさと納税、地方法人特別税、二つの 税制とも何か苦策というか奇策というか、何か税の原則としてどうなんだろうかなという疑問を率直に感じます。この点について地方の税制を改正する上で守ら なければいけない原則、侵してはならない原則ということについてお教えいただけますでしょうか。

○参考人(池上岳彦君) 先ほども申し上げたのですが、地方税の配分原則とそれから財政調整制度の配分原則というのはやはり違っているわけでございます。
国会審議の議事録などもちょっと拝見したことがあるのですが、例えば地方法人特別税につきましては、地方の税源という枠に入るのか入らないのかということ についての認識が人によって違うのかと思います。私、思いますに、地方の税源と言ったときに、普通は狭い意味では自主財源なんですね。自主財源という枠で 考えればそれはやっぱり法人事業税というのは自主財源でありますから、その団体の、要するに課税団体の財源であろうと。それを更に広げて地方、例えば共有 財源ということになってきますと、今地方交付税も実はそういうふうな位置付けがなされるわけでございまして、そこまで入れればそういう言い方もできるので すが、例えば法人事業税という枠に限ってみますと、その枠内で、先ほど申し上げたとおり外形標準課税といった事業税という枠内で、つまり自主財源という枠 内での改革は可能かと思いますが、それを共有財源の方に直接入れていくということになると、やはりそれは地方税の原則には外れるのかなというふうに私は 思っております。
それから、ふるさと納税についても、今お話にございましたとおり、現時点の税を現時点のサービスに使うわけですから、ふるさととかなんとかということにつ きましては、これは確かに教育なりなんなりを全部借金でやっていて、後でその公債費を払うために納税しろというなら話は別ですが、実際には原則としてはそ ういういわゆるサービスに関しては税でやって、その時点での税でやっておりますので、そうしてくるとやっぱり論理的にはなかなか整合しにくい。ということ は、先ほど言ったとおり、そういった地域間のバランスを取っている、あるいは財源を保障するというのはやはり交付税の、地方交付税のいわゆる財政調整制度 の役割であろうということだと思います。
ということは、こういった寄附金控除というのも、私は実は別にこれは地方公共団体向けの寄附金控除に限らずですけれども、つまり住民税における寄附金控除 というのは基本的にはその団体が決めるべきものである、本来ですよ。国が例えばその、例えば赤十字であるとかそういったところについてはもう既に元からあ るわけですし、地方公共団体についても元からその寄附金控除の制度はあるのですが、しかしそれはやはり本来は国から言われてやるのではなくて、地方団体が それぞれ決めるべきものだろうというふうに考えております。
以上です。

○行田邦子君 ありがとうございました。


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