
| 2008(平成20)年6月10日 総務委員会質問(平成17年度・18年度NHK決算について) |
○行田邦子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の行田邦子です。
本日は、NHKの平成十七年度、十八年度の決算ということですので、本来は当該年度の決算にかかわる事柄について質問をすべきとは思いますけれども、先 般発覚しましたNHKの職員によるインサイダー取引という、報道機関であるNHKの根幹を揺るがす大変重大な事件が起こりましたので、まずこのことについ て初めに質問をさせていただきます。
改めてこの事件を振り返りますと、平成十九年三月八日に資本業務提携に関するニュース予定原稿を見て三人の職員が同時多発的に放送直前に当該株を購入 し、翌日売却して利益を確定させていた、このような事実が平成二十年、今年一月十六日の証券取引等監視委員会の調査によって明らかとなり、インサイダー取 引と認定されたということです。
この事件を知ってまず私が驚いたことは、NHKにインサイダー取引や職員の株取引に関する規定がなかったという点です。私が会社員だったころの記憶で も、株取引に内規を設けたり社員の教育を行うなど、ここ数年特にそうですけれども、インサイダー取引の未然防止策というものをそれぞれの企業において取ら れているものと認識をしておりました。そして、特に報道機関においては、一昨年の日経新聞の広告局員によるインサイダー取引という事件がありましたので、 一層厳格な対応を行っているものと思っておりました。ところが、インサイダー取引や株取引について、NHKでは内規というものが存在しないという事実を知 りまして、私は大変衝撃を受けました。
そこで、福地会長に伺いたいと思います。
この事件が発覚したとき福地会長はまだNHK会長には就任されていなかったと思いますけれども、ほかの報道機関や企業では設けられている内規がNHKに は存在しないということを外から見てどのようにお感じになりましたか。そしてまた、今後、職員の株取引についてどのような制限を設けるのか、お教えいただ けますでしょうか。

○参考人(福地茂雄君) インサイダー取引は金融商品取引法で禁止されている違法行為でございまして、これはNHKに 限らず一般企業でも一緒でございますが、まずはNHKでも取材で得た情報を個人の利益のために利用することは許されないという規定はございました。しか し、この規定はございましたけれども、それが認識されてなかったということが根本的な理由だというふうに思います。
この辺につきまして、第三者委員会の久保利先生からの中でも、要するにNHKの職員の中に危機意識がない、プロのジャーナリストとしての認識がない、そういったことをまず仕事場の中で徹底していくことだという御指摘をいただきました。
もう一つ非常にショッキングでしたのは、研修も実施していたようなんですが、三人の職員の中に、研修は受けてないとか、そういった規定があるのを知らな かったというような発言がありました。これはやっぱり、私は常々思っているんですが、いろんな制度とか仕組みとかマニュアルとかそういった規定、形はある んだけれども心が伴っていない、徹底していないという、そういうふうな企業風土に問題があったというふうに思います。
研修の問題につきましては、これは何も研修担当だけではなくて、私自身の問題とも心得ておりまして、実は私も、ちょうど今異動の時期でございますけれど も、六月には新任管理職の研修だとか、あるいは新放送局長の研修だとか、あるいは一般の管理職の研修だとか、関連団体の役員の研修だとか、六月に二回、七 月に四回、私自身も私の口から計六回の研修を担当しておりますが、そういった経営研修の中で、こういった基本的なものについて私の口からも徹底していきた いと、かように思っております。以上です。
○行田邦子君 一般的なコンプライアンスに対する規定というのは確かにこれまでもNHKにあったようですけれども、ただ、インサイダー取引ということ、そして株取引ということをはっきりと明言した内規というものは今までなかったのではないかというふうに私は認識をしております。
NHK以外のほかの報道機関を見ますと、ここ数年、特に厳しくほかの報道機関はインサイダー取引、そして株取引についてきちんと明文化をして規定を設けて いる、なのにNHKだけそういったものがなかった、公共放送機関にもかかわらずなかったということが私は今回起こった問題の原因ではないかなというふうに 思っております。
私も放送局や新聞社の方と接していてつくづく思うんですけれども、報道機関というのは業務を通じてあらゆる情報を入手することができる立場にあるわけで す。報道に携わる者の特権とも言っていいと思いますけれども、その特権が与えられているのは、それは国民の知る権利にこたえるためにあるのであって、そし て報道の自由を守るための担保であります。私的利益を得るためのものでは当然ないわけです。今までこういったインサイダー取引、そして株取引ということに 対して明確な内規はなかったということですけれども、遅きに失した感はありますけれども、是非とも株取引についての明確なルールづくり、そして厳守を要望 したいと思います。
次に、先ほども福地会長からも御答弁の中でお話がありましたけれども、インサイダー取引についての職員教育について伺いたいと思います。
この点についても、私、内規がないことに次いで二度目の驚きだったんですけれども、今回インサイダー取引を行った三人のうち二人の職員が、自分が行った株 取引がインサイダーになり得るという認識がなかったというふうに第三者委員会の報告書には書かれています。そして、さらに、インサイダー取引についての認 識の低さについては、事件を起こした職員だけの問題ではないようなんですね。第三者委員会に寄せられたアンケートの自由記載では、インサイダー取引に関す る研修が不十分という意見が多数寄せられていたということです。また、入局以来一度もインサイダー取引について教育された覚えがないという意見も見受けら れました。そして、こうした事件が起きた後でも、できれば株取引をしないようになんていうお達しは勘違い甚だしい、ばかじゃないのか、個人的な行為をなぜ 会社に規制されなければいけないのか、NHKの保身体質はうんざりだといった自由回答も寄せられています。報道に携わる者の株取引について、この期に及ん でもまだ理解できていないというような状況ではないかと思います。
福地会長に改めて伺いたいと思いますけれども、先ほど社員教育、職員教育というお話がありましたけれども、インサイダー取引や株取引に限定しての職員教育というのはこれまで行われたことがあるんでしょうか。
○参考人(福地茂雄君) インサイダー取引、それから株取引だけについての研修というのは、あったかも分かりませんが、私の聞き及んでいるところでは承知しておりません。
○行田邦子君 私、これまでずっと会社員だったんですけれども、本当に特にここ数年というのはインサイダー取引 というものについて各企業で非常に厳しく研修を行って、そして厳しく管理をしているというふうに認識しています。特に、あらゆる様々な情報を入手できる、 そういう立場にある報道機関の方に対しては、しっかりと厳格にこのインサイダー取引、それから株取引について厳しく内規を設けて、そしてさらに職員教育と いうのも徹底して行っていくべきではないかということを申し上げておきます。
今回のこのインサイダー取引の問題なんですけれども、これは三人の方がインサイダーと認定されましたけれども、決して私はこの三人の方だけの問題ではない というふうに思っているんですね。そもそもこのようなインサイダー取引がこの期に及んで起こってしまうというのは、NHKという組織そのものの問題ではな いかというふうに思っております。
今の貯蓄から投資という流れの中で個人投資家が増えています。特にネット証券の普及によって今まで株取引とは縁がなかったいわゆる一般の会社員の方も手軽 に株取引を行うようになりました。同時に、インサイダーという問題も、ごく一部のプロの投資家だけではなくて一般の会社員のような投資家にも起こり得る問 題として意識をされています。かつては企業も、そしてそこに働く従業員も余りインサイダーということについては意識が薄かったとは思うんですけれども、ど ういう行為がインサイダーに当たるのか、そしてインサイダー取引は犯罪であるという教育を企業内でしっかりと行うことによって、インサイダーについて認識 不足だった職員による不幸な事件は未然に防げるんだろうと思います。そういう意味では、今回の事件というのはNHKの組織の問題というふうに私はとらえて おります。
本日は、第三者委員会の委員長を務められた久保利参考人にもお越しいただいていますので、久保利参考人に伺いたいと思います。
今回のインサイダー取引事件が発覚して思うんですけれども、NHKは今、不祥事とそれに対する形式主義的な対応を繰り返すうちに負の連鎖に陥ってしまって いるように私には思えます。このような負の連鎖を断ち切るためにはNHKという組織は今何をなすべきなんでしょうか。今回の調査を実際に行われた上での御 感想をいただけますでしょうか。

○参考人(久保利英明君) 久保利でございます。今の委員の御質問にお答えします。
今回の事件は確かにインサイダー事件ではございます。しかし、根本をたどってみると、基本は、取材の自由というのはなぜ認められているのか、委員おっしゃ るとおりでございまして、報道の自由の担保としてあるのだ、それを公共放送としてのNHKが担っているんだという意識が余りにも薄過ぎるのではないかとい う印象を受けました。そういう意味では、得た情報を株取引で使うとインサイダーという問題が出てくる。しかし、それを第三者に譲渡する、あるいは対価を 取ってその情報を売るというふうな形になりますと、これまた別の犯罪を構成するだろうと。そういう意味で、インサイダーだけではなくて、全体として、なぜ 報道の自由、あるいは報道機関というものがなぜあるのか、NHKはなぜ存在するのかということを正確に認識する教育、これが必要だと考えまして、提言の中 の第一番目に、プロのジャーナリスト、報道機関とは何かということを議論するように、そしてNHKの使命を実現させるための意識改革というものを是非お願 いをしたいという提言をいたしました。
そして、今御指摘の組織の問題でございますが、NHKの組織論として考えますと、一つはコンプライアンスの在り方、これがいつもモグラたたきの後追いに なっていて、リスクがどこにあるかというリスク管理という姿勢がなかったということが一つあります。もう一つは、この組織の縦割りという問題がございまし て、交流がほとんどない、他分野との交流がない、あるいは報道一極集中といいますか、こういう問題があったのではないかということも考えまして幾つかの提 言をさせていただいております。そういう点で、この問題はNHKの在り方そのものとかかわります。
そして、個人の問題として考えていけば、そこには具体的な規制というものがなかったということ、あるいは研修というものが不十分であったこと、こうなりま すが、一番の根本には、実は、報道とは何か、取材の自由とは何か、このことについてのNHK職員の根本的な認識不足というものがあったと、こう理解をして おります。
○行田邦子君 ありがとうございます。
それでは、古森経営委員長にも伺いたいと思います。
経営委員会としても今回のインサイダー取引について責任を負っているとお考えでしょうか、また今回のインサイダー取引不祥事についてどのようにお考えでしょうか。
○参考人(古森重隆君) お答え申し上げます。
今回のこの職員による株のインサイダー取引は、公共放送NHKの報道機関としての信頼の根幹を揺るがすものだとして誠に遺憾だと考えております。支えてい ただいております国民・視聴者の皆様に対しまして、経営委員会としても心からおわびを申し上げたいというふうに思います。
これまで経営委員会は、自らの諮問機関といたしましてコンプライアンス委員会を設置いたしました。その答申等を踏まえまして、執行部に対しまして都度提言 を行う等のNHKのコンプライアンス徹底のために様々な対応を行ってまいったというふうに考えております。しかし、それにもかかわらずコンプライアンス意 識や倫理意識が組織全体に徹底されていなかったことについては、経営委員会としても責任を感じております。
今後、第三者委員会の提言をも踏まえ、執行部とともに再発防止に向けた取組を進めるとともに、これまで以上に執行部に対する監督の役割を発揮し、再び信頼されるNHKを取り戻していく所存でございます。
さらに、付言いたしますと、このコンプライアンスの徹底というのは何回もやってきたわけでありまして、にもかかわらず起きたということを踏まえると、この 徹底の仕方というやり方の問題をひとついろいろ考えなきゃいけないんじゃないか。徹底してやるということを具体的に考えなきゃいけないということと、そし て、いろんな途中で虚偽の報告があったとか虚偽の訂正があったとか、株取引した、三年間に取引した二千七百人のうちに九百有余人が適切な回答をしなかっ た、あるいは拒否した等々、これはもう信じられないような、企業として信じられないような私は問題だというふうに思います。職員のモラルという根幹にかか わる大変な問題だというふうに思います。
これはやはり、コンプライアンスの徹底のやり方と同時に、このモラルの在り方、モラルの見直しというものについて、やはり踏み込んで今後は対策をとっていかざるを得ないだろうというふうに考えております。 以上であります。
○行田邦子君 今の久保利参考人、そして古森委員長の御答弁、お話をお伺いしていまして、どうしても私は国の各省庁の今の状況とオーバーラップさせてしまうんですけれども、そこで増田大臣及び総務省に伺いたいと思います。
今回、インサイダー取引事件が起きて明らかになったことですけれども、あれだけコンプライアンスと叫んでいたにもかかわらず、インサイダー取引についてあ るいは株取引について内規が存在しなかった。そして、職員への周知徹底、職員教育が十分に行われていなかったわけです。
そこでお伺いしたいんですけれども、国家公務員の株取引について規制はどのようになっていますでしょうか。また、インサイダー取引について何か明文化されたものがありますでしょうか。
○国務大臣(増田寛也君) 国家公務員の株取引についてでありますが、これはまず、国家公務員倫理法という法律 がございまして、この規定により規制をされています。一つは、職員は利害関係者から未公開株式を譲り受けてはならないこととされております。それからもう 一つは、本省の審議官以上の職員、幹部職員ですが、本省審議官以上の職員については、前年に行った株券等の取得又は譲渡について株取引等報告書を提出しな ければならないと、このようにされております。法律に基づきます規制はこの二つでございます。
そのほか、国家公務員の株取引につきましては、事務次官等会議申合せというものがございまして、これは全職員に周知徹底を図っているわけでありますが、こ れは平成七年の九月に出されたものでございまして、インサイダー取引規制の周知徹底を始め、国民の疑惑や不信を招くことのないような必要な措置を講ずるこ ととなっているところであります。
インサイダー取引自身は、もう何人が行ってもこれは犯罪でございまして、いけないわけでございますが、こうした取引規制の周知徹底ということで、国家公務 員も様々な情報に接する機会がありますので、そうしたことをかんがみまして、このような事務次官等会議申合せということで、そのほかの事項もございますけ れども、国民の皆さん方からの疑念や不信を招くことのないような措置を講ずると、こういうふうになっているところでございます。
総務省としても、当然こうした綱紀の一層の厳正な保持に努めていきたいと考えております。

○行田邦子君 今増田大臣がおっしゃられたように、報道に携わる方だけではなく、むしろ各省庁で働く国家公務員の方こそ、例えば企業に対して許認可を与えたりとか、株価に影響を与えるような秘密情報を知り得る立場に置かれているわけです。
この通常国会では、省庁の職員の倫理観が疑われるような税金の無駄遣いが次々と明らかになっています。先日も居酒屋タクシー、職員が公費を使って乗ったタ クシーの運転手から、ビールやおつまみだけでなく金券を受け取っているといったような事実も発覚しております。このような国家公務員の倫理観が疑われるよ うな状況になっているわけですから、これは言い方はちょっと悪いですけれども、未然防止ということも含めて、国家公務員の株取引について各府省共通のもっ と明確な決まりを設けるべきではないかというふうに私は考えております。国家公務員の人事行政を所掌するお立場として、また内閣の一員として、増田大臣、 いかがでしょうか。
○国務大臣(増田寛也君) 様々な最近公務員の不祥事が発覚をしているということで、やはり私ども規律が緩んで いるという感じを持っております。ですから、綱紀粛正に一層取り組まなければいけないと。無駄ゼロですとか、それから職員一人一人の様々な行為について も、より透明性高く、そして規律を保持するために何がいいか、これは内閣全体として考えていかなければならないと思います。
株取引でありますけれども、これも経済行為でありまして、そのこと自体は正常な経済行為だというふうに思いますけれども、また株も、当然のことながら遺産 相続等で本人がやらない人間も所持することがあるといったことがございますので、今私どもが持っておりますこの国家公務員の株取引の規制がございますが、 これをきちんと理解をして、それで一人一人が守れば、そこに趣旨は全部書いてございますので私はいいのではないかと思うのですが、なお、今委員からも御指 摘ございましたとおり、この株取引について何らかまた必要なことがあるのかどうか、これは私ども考えておきたいというふうに思いますし、いずれにしても、 せっかく決められたことがきちんと守られるように、この周知徹底は一層厳密に図っていきたいというふうに思います。
○行田邦子君 先般、六月三日だったと思うんですけど、増田大臣も記者会見でおっしゃられていましたが、今、こ れもまたこの通常国会でいろいろと話題になりましたレクリエーション費についても、法律上は明確な規定がない、抽象的な表現にしかなっていないということ です。そのことによって、いろいろな解釈、拡大解釈でとんでもないようなレクリエーションに税金が使われている、このようなことも起こっています。
今、国家公務員、省庁で行われていることを考えますと、残念ながら性善説ではもう成り立たなくなってしまっているのかなというふうに私は考えております。 レクリエーション費もそうですけれども、この株取引、まだ何も問題は起こってはいないと思うんですけれども、未然防止ということを国としてもしっかりと考 えていくべきではないかというふうに私は思っております。
次に、NHKの話に戻りまして、長野放送局記者の不祥事について伺います。
NHKのプレスリリースによると、今年三月三十一日に長野県域のローカルニュースで放送した、安曇野市が観光PRに有名人夫婦を起用という原稿について、 信濃毎日新聞の記事から内容を写したのではないかとの指摘があり、記事を盗用していたことが明らかになったということです。しかも、取材もせずに原稿を書 いた後も、事実の確認をしないまま原稿を出稿していたという、まさかあのNHKがというような、耳を疑いたくなってしまうような不祥事が起きました。
このようなお粗末な事件がなぜ起きたのでしょうか。そして、このプレスリリースは六月四日付けで出されていますけれども、つまりニュースが放送されてから不祥事を公表するまで二か月以上時間が経過しているのは何か理由があったのでしょうか。福地会長にお聞きします。
○参考人(福地茂雄君) 私はかねがね、現場主義と申しますか、現場で現物を現実に確認しろということを口が 酸っぱくなるほど言っておりますが、いやしくも記者が現場で取材をせずに他の新聞の原稿を盗用するということは、まさに報道倫理といいますか、プロの ジャーナリストとしてのあるまじき行動だというふうに考えて、極めてざんきに堪えないところであります。
事実は事実でございますけれども、どういったいきさつでそういったことになったのかという社内で今調査をしております。極めて近いうちに規律委員会を開い て厳しく処分をいたしたいと、かように考えております。今後、報道倫理の確立に向けて全力で取り組むことが私に課せられた課題だというふうに考えておりま す。
こういった事件が起こりまして二か月を経過したということは、これも一つはコンプライアンスの取扱いの問題がございますけれども、現地で市長とかそういっ たところにおわびを入れた段階でこの問題が片付いたというふうなことで、本部に対する報告義務がないというふうに考えていたと、この辺にも危機意識の問題 がありますけれども、そういったことが遅れた原因でございます。本部に入ってきてからは本当に二日以内に物事が片付いているというふうに考えております が、報告義務を怠ったということが大きな原因だというふうに考えております。 以上です。
○行田邦子君 今お話をお伺いして、これはこの記者一人の問題ではないだろう、組織の問題なんだろうと、報道に 携わる組織の気の緩みなのではないかというふうに考えました。恐らく、市長に謝罪に行ったときに、その時点ではこの記者とそれから恐らくその上司に当たる 方も同行されたのではないかと思うんですけれども、ということは、この記者一人で問題を処理したということではないと思うんですね。上司が認識していた、 このことを把握していたにもかかわらず、本局、本部の方に情報を上げなかったというのは、これ大変重要な問題だと思っております。
報道の自由、表現の自由、それから編集の自由ということをNHKさんよく言われていますけれども、これはもちろん守らなければいけないことだと思いますけ れども、自由には責任が伴うという自覚が全くないのではないかと、これはこの記者個人の問題だけではなく、NHKという組織全体が抱える問題ではないかと いうふうに思っています。このようなずさんな取材というか、取材すら行っていなかったということですけれども、ずさんな報道がまた再び起こるようであれ ば、これは本当にNHKという公共放送、報道機関の自殺行為と言わざるを得ないというふうに思っております。このことを指摘しておきたいと思います。
それでは、これまでの時間を使いましてインサイダー取引それから記事盗用という職員の不祥事について質問させていただきましたけれども、福地会長にお伺いしたいと思います。
NHKにとって最も大切な財産は何だとお考えでしょうか。
○参考人(福地茂雄君) 人材であります。質の高い番組、正確で迅速な報道はすべて人によると。
その職員の今打ち続く不祥事によって、すべての職員とは言いませんが、多くの職員が伏し目がちになっております。第三者委員会を主宰していただきました久 保利先生の結論の中には、中には非常に使命感に燃えた職員もいる、しかし多くの職員が危機感を持っていなかったということが書いてありますが、やっぱり 今、今これだけ不祥事が続いて辛うじてやっぱりNHKがもっているのは、視聴者に愛されるいい番組といい報道をしているからだと。それはやっぱりすべて職 員の手に成るものです。その職員のモチベーションをつくっていくのが私に与えられた使命だと思っております。 以上です。

○行田邦子君 福地会長おっしゃられるとおりだと思います。報道機関にとって財産というのはまさに人材以外にないと思います。今その職員というNHKにとって最も大切な 人材、職員の方たちが希望を失ってしまっている、モチベーションが低くなってしまっている、そして公共放送機関で働くということに対する誇りを失ってし まっている、このような状況ではないかと思います。
ここは是非とも民間御出身の福地会長にはNHKに新しい風を送り込んでいただいて、そしてNHKの財産である職員一人一人が希望を持って、そして誇りを 持って、公共放送で働くという誇りを持って報道に携わることができるようにNHKという組織を変えていっていただきたいということをお願いを申し上げま す。
次に、国際放送について伺わせていただきます。
改正放送法の施行に合わせて、外国人向けテレビ国際放送を行う新会社、株式会社日本国際放送が設立されました。平成二十年度の予算の審議の際にも質問をさせていただきました。
今年四月に企画会社として資本金五千万円で設立されましたが、年内には民間からの出資も募り、三億円に増資し、本格的に事業を開始する予定とお聞きしています。
事業開始に向けての準備状況、特に民間からの出資者のめどについてお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(日向英実君) お答えします。
今おっしゃっていただいたように、日本国際放送という株式会社が設立されております。それと同時に、NHKの中に事業化推進室というのを設けました。そこ が中心になって、今、民間のノウハウをどのように取り入れていけばいいか、それから民放その他のほかの制作会社の参加をどのように確保すればいいかという ようなことについて今様々な協議をしております。
また、民間会社からの出資、それから人材の派遣、それについても今要請を始めております。そのために、判断材料となるための事業化プランを早期に作りまし て、改めて協力のお願いをする予定でございます。現時点ではまだ企業名は公表できませんけれども、出資について前向きな返事をいただいているところもござ います。
以上でございます。
○行田邦子君 この新会社は、この新会社の自主放送枠というのを設けて、スポンサーを募ってテレビCM枠を設ける予定というふうに聞いております。それは事実でしょうか。
○参考人(日向英実君) NHKが委託をして、特にニュースが中心になると思いますけれども、それはNHKの編 集の責任の下にやりますけれども、それ以外に独自番組、この会社の独自事業として、コマーシャルその他も含めてそのような番組をそのチャンネルの中で放送 するということを予定しております。
○行田邦子君 私の経験上からも直感的に思うんですけれども、国際放送でスポンサーを募るというのは大変難しい ことだというふうに思うんですね。そう簡単にはいかないというふうに思っております。ふたを開けてみたらば富士フイルムとアサヒビールのCMだらけだった ということにならないように、しっかりと実現可能な事業計画を立てていただきたいというふうに思いますが、福地会長の御決意、いかがでしょうか。
○参考人(福地茂雄君) 私も、民間のどういう方が参画してくれるかなと、それについては私の仕事だろうという ふうに考えておりましたけれども、おかげさまで、まだ名前をここで申し上げるわけにはいきませんが、有力な方からも、福地さん、一緒にやっていいよという お話も私自身聞いております。現場で今具体的な打合せをさせておりますが、そういった事例もございます。
ただ、おっしゃるように、極めて採算的に難しいということは重々承知をしております。それだけに、やっぱり慎重な事業計画が必要だろうというふうに思っております。なかなか黒字化していくのは当初から難しいということはよく承知をしております。以上です。
○行田邦子君 国際放送については要請放送という名目で国費が投入されていますので、しっかりと計画倒れにならないようにお願いしたいというふうに思います。
最後に、この委員会がNHKの株主総会だとすると、恐らく今日お越しの古森委員長には必ずこの質問が来るのではないかなと思いますので、質問させていただきます。市民団体による古森委員長の罷免運動の件について質問をいたします。
五月九日に福田総理に対して、市民団体四団体が古森委員長の罷免を求める六千二百九十人分の署名を提出したとのことです。これら市民団体からは私のところ にも委員長の罷免の申入れという書面が送られてきました。また、罷免を求めるメールも、個人の方のお名前ですけれども、何通か私の事務所あてに届いていま す。
恐らくNHKにもお客様の声として、こういった罷免を求めるというか、クレームが寄せられているのではないかと思いますが、状況をお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(金田新君) お答えいたします。
今年四月から昨日まで、視聴者コールセンターとか全国の放送局の方に寄せられました意見のうち、いわゆる国益発言に関する批判的な意見、これが十八件でございました。もう一つ、国会議員を励ます会の出席に関する批判的な意見、これは二十九件ございました。
以上でございます。
○行田邦子君 今数をお聞きして決して多いという数ではないと思いますけれども、事実としてNHKにこういった抗議の声が寄せられているということを確認させていただきました。
こういった市民団体が古森委員長の罷免を要求する理由の一つとして、政治的発言を挙げています。最近物議を醸したものとしては、国際放送では国益を主張せ よという発言がありました。この発言が報道された流れを受けて、民放連の広瀬会長が、狭い意味での国益中心の報道は私たちの手に負えないと国際放送への出 資に難色を示したという報道がなされています。これはあくまでも報道です。
こういった古森委員長の言動が火種となってNHKの業務執行の妨げになる、こういったことも言動の内容によっては十分起こり得ると思うのですけれども、古森委員長御自身のお考え、お聞かせいただけたらと思います。

○参考人(古森重隆君) ただいまの質問でございますけれども、まず民放連会長の発言でありますけれども、定例会見の報道を私拝見いたしまして、私の本意が伝わっていない可能性が あると考えまして、事務局を通じまして、私が発言しました国益とは広く日本国民全体にとっての利益であるという意味で用いたものであり、単なる偏狭なナ ショナリズム、国益を追求する国策放送的な、意図したものではないというふうなことをお伝えいたしました。私の真意は一定の御理解をいただいたものという ふうに考えております。
ただいま、先ほど説明がございましたように、国際放送新会社については立ち上げに向けて民間企業や民放各社と話合いも進んでいるというふうに受け止めております。ということでよろしいでしょうか。
○行田邦子君 古森委員長は本当にこれまでビジネスマンとして大変国際的にも活躍されて、経験豊富な方だという ふうに認識しておりますけれども、今NHKの経営委員長というお立場であられるわけですので、十分御発言には御注意いただけたらなというふうに思っており ます。今日はこの委員会というのは、NHKにとっては株主総会のようなものだと私は認識しておりますので、あえてこの質問はさせていただきました。
増田大臣に伺います。
経営委員の罷免は総理大臣が衆参両院の同意を得て行うことができると放送法には規定されています。NHKを監督する大臣として、経営委員長の言動が市民団 体の罷免運動に発展し、またNHKの業務執行の妨げにも、その発言の内容によっては妨げにもなりかねない状況に対していかがお考えでしょうか。
○国務大臣(増田寛也君) 市民団体の動きは、それは、またNHKに対しての様々な御意見というのは常にこうい う報道機関というのは存在するんですが、そうした報道機関に対しての一つの意見の表れと、こういうふうに受け止めております。内容等について私の方からコ メントすることは申し上げませんが、NHKというその報道機関に対しての市民団体の一つの意見というふうに受け止めております。
それから、経営委員会あるいは経営委員長さん、それぞれ放送法で任命の事由も決められておりますし罷免の手続等も決められておりますし、それから、重要な 職責を担うと、こういうことになっておりますので、今、放送法等に基づいて職務を十分に果たしていただきたいというのが私の考えでございます。
○行田邦子君 今日は四十分というお時間の大半をインサイダー取引、職員の不祥事について質問をさせていただき ましたことを大変残念に思っております。来年の平成十九年度のNHKの決算のこの委員会での質問の場では、是非とも私たちの公共放送であるNHKの明るい 未来が開けるような、そういった質疑をやっていきたいというふうに思っております。
そのためにも、福地会長には是非ともリーダーシップを発揮していただいて、そして今暗いトンネルの中にあるNHKを暗いトンネルから抜け出すように努めていただきたいと、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。


